日本子ども虐待防止学会が『社会的養護における災害時「子どものケア」手引き』を公開

日本子ども虐待防止学会
『社会的養護における災害時「子どものケア」手引き』を作成、公開しています
施設で生活している子どもの養育や支援をしている方々が、どのように子どもの心のケアをすればよいのかを考えることができる内容となっています。

↓『社会的養護における災害時「子どものケア」手引き』ダウンロードはこちらから↓

日本には、何らかの事情で親と暮らせない子どもたちが暮らす児童養護施設という場所があります。
タイガーマスク運動でランドセル等が届けられて話題になったので、存在を知っている方も多いのではないでしょうか。
30,000人の子どもたちが、この施設で暮らしています。

そして今回の震災では、親を亡くした子どもがたくさんいます。
仕事や学業上の理由により、親と離れて暮らす子どももいます。
そんな子どもたちに接する大人にできることが、まとめられています。
抜粋して紹介します。

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1.ケアワーカーのみなさんに起きていること
・まず、子どもたちと接する大人自身も被災体験をしながら、子どもたちのケアをしていることを自覚し、ケアワーカー自身のストレス対処が大切です。

2.災害時の子どもの反応
・からだ、感情、行動に様々な反応が出ます。そして社会的養護を受けている子どもに特徴的な反応を示すこともあります。

3.子どもへの初期対応
1)安心感の回復を心がける
2)過去と現在の違いを明らかにする
3)罪悪感を扱う
4)自分の反応は普通のことであると理解できるように支援する
5)子どもの活動を確保する
6)子どもの自発的な表現は遮らないで受け止めてあげる
7)生活の見通しを持たせる
8)子どもに適切な情報を提供する

4.子どもへの中長期的な対応
1)日常活動をできるだけ早期に再開する
2)復興のための活動に子どもの参加を促す
3)子どもの表現を促進する
4)子どもの生活環境の変化を出来る限り少なくする
5)グループを活用する
6)症状が継続している子どもへの援助
7)保護者から虐待を受けていた子どもがその保護者を失った場合

5.保護者・家族との調整
・対応チームをつくりチームで関わることが大切です。一貫性を持った対応ができるように体制を整えるなど、組織的対応が重要です。保護者からの強制的な引き取り要求など、様々な事態が予測されるので、特にリーダーである管理職は安定感のあるケースマネジメントを積極的に行うことが求められています。

6.家族を亡くした子どもへの対応
・家族を亡くす事は子どもにとって最も大きな出来事です。施設にいて離れて暮らしていたとしても、子どもにとっての衝撃は強いと考えましょう。十分なケアが必要です。

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震災から2か月が経過し、被災地の学校も続々と再開されています。
避難所での子どもの居場所づくりや遊びの提供も進められています。
震災で子どもが権利を奪われることがないように、私たち大人の姿勢が問われていますね。