仮設住宅で事件が起きてしまいました

先日、下記のような事件が起きました。

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内縁の妻、仮設住宅で暴行され死亡…男逮捕

仮設住宅で内縁の妻の両手足を縛って監禁し、けがを負わせたとして、宮城県警石巻署は19日、同県石巻市開成、会社員浅倉正規容疑者(50)を逮捕監禁致傷の疑いで緊急逮捕した。

内縁の妻は同日、死亡し、同署は逮捕監禁致死容疑を視野に調べている。

発表によると、浅倉容疑者は同日午前0時頃、仮設住宅で、同居する無職小山田真由美さん(46)の顔を殴るなどしたうえ、タオルで両手足首を縛ったり、口をふさいだりしてけがを負わせた疑い。

同日午前7時頃、浅倉容疑者が「起きたら妻が動かなくなっていた」と119番して発覚。「妻が酒を飲み、口論になって暴れた。騒がれると近所迷惑になると思い、縛った」と供述しているという。

(2011年8月19日20時51分  読売新聞)

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仮設住宅への入居が進み、人々のプライバシーが確保された分、
仮設住宅のような人の目が届かない場所で暴力事件が起きています。

このように事件が表沙汰になるのは珍しく、
日々起こる暴力のほんの一部に過ぎません。

人々がこのような暴力の存在を認識すること、
仮設住宅や避難所等のコミュニティの人々が声を掛け合って暴力防止を心がけること、
暴力を受けた人が声を出しやすいような環境を作ること、
心のケアといったサポート、
そして一日も速い復興支援が必要ではないでしょうか。

被災地の中高生の学習を無料サポートする「希望のゼミ」

病児保育・病後児保育を手掛けるNPO法人フローレンスが、被災地の中高生向け無償サポート「希望のゼミ」を開始しましたので、ご案内します。

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●被災地の中高生向け 無償学習サポート「希望のゼミ」
〈利用応募受付:816日(火)~915日(木)〉
【公式サイトはこちら】

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■サポート内容:
(1)移動学習室利用
(2)進路相談セミナーや学習相談等個別ケア
(3)ベネッセコーポレーション「進研ゼミ」無償提供
■対象学年:
中学1~3年、高校1~3年
■定員:
600
■対象者:
(1)昨年度の世帯年収300万円以下の世帯
(2)震災の影響により、今年の世帯年収が300万以下であると予想される世帯
(3)保護者のどちらかまたは両方が死亡または行方不明の世帯
■サポート期間:
119月~133月末まで
■申し込み方法:申込用紙各種をフローレンス事務局まで郵送
(申し込み用紙はWEBからダウンロードほかコンビニでダウンロード印刷可)

当プロジェクトは20133月末まで継続する計画で、フローレンスが現地で雇用した教育支援員(応援先生)が、被災地の教育委員会や学校、自治体と協力し中高生に対し広報を行い、入会申込を募ります。
そして、移動学習室や受験セミナー、受験相談を行い、更に「進研ゼミ」の無償提供を行うことで、被災地の中学生、高校生の学習・進学を包括的にサポートし、約1年半で受験生を中心とした600人の中高生を支援します。
「希望のゼミ」という名称は、被災によって今厳しい環境下におかれた中高生のみなさんが将来の夢や進学をあきらめないよう、共に走っていきたいという思いを込めて名づけました。
 
私達は「希望のゼミ」を通じて、子ども達の可能性の最大化を通じて、東北の力強い復興に貢献することを、ここに宣言します。

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親の低所得は、子どもへの教育投資を制限し、こどもの低収入へと繋がっていく、貧困の連鎖を生み出します。
震災は、経済的打撃を招き、所得水準低下によって、塾への通学や進学を諦めざる得ない子ども達が増えることが予測されます。
希望のゼミが、多くの子どもたちの夢を応援するものとなることを、心から願っています。

東京都が福祉総合相談コールセンターを開設

東京都では715日から、都内に避難されている被災者の方を支援するための、福祉総合相談コールセンターを開設しています。

【都内避難者 福祉総合相談コールセンター】
平日午前9時から午後5時まで
電話:03-3268-7177
ファクス:03-3268-7222
Eメール:soudan@tcsw.tvac.or.jp


介護や医療・保育等の、生活における様々なニーズに応じ、必要な情報の提供や専門機関へつなげます。

慣れない場所での生活は、ただでさえストレスが溜まります。
特に「ちょっと困った時の相談先」が分からないことは、不便な生活につながります。

こうしたセンターを活用することで、不安が軽減されることを願っています。

ジョイセフが産婦に義援金を支給しています

国際協力NGOジョイセフ(JOICFP Japanese Organization for International Cooperation in Family Planning 財団法人家族計画国際協力財団)では、東日本大震災発生直後から、女性、妊産婦を中心とした支援を、継続して実施しています。

【活動レポートはこちらです】

被災地での最近の課題として、
・若い人たちが町に戻ってもらえるようにするためにも母子支援の活動も大切だが、仮設住宅の建設と移住、人口の多い高齢者に対する福祉が最優先事業となっている
・多くのお母さんたちが集まる場所がなく、お母さん同士のコミュニケーションもとれないまま育児不安を抱えたり、孤立してしまう妊産婦さんが増えている
といったことが挙げられています。

そこでジョイセフでは、震災で被災された産婦に対する義援金(ケショ)を支給しています。

被災時に岩手、宮城、福島3県に住民票があった被災者(居住する家屋が「全壊」または「半壊」した者、または「警戒区域」に居住していた方)で、平成23年3月1日~12月31日に出産した女性が対象です。
金額は50,000円。
産婦の指定口座(原則として産婦本人名義)宛に直接振り込みます。

【義援金申し込みの詳細はこちらです】

「ケショ」とはスワヒリ語で「あした」を意味するそうです。
この義援金には、被災された妊産婦さんにとって、生れてくる赤ちゃんにとって、一日一日がよりよい「あした」になりますようにとの、世界中の人びとの思いが込められています。

世界中のあたたかい思いが、あなたに届きますように。

【シンポジウム】「災害と女性~未来(あした)をつくる」

NPO法人女性の安全と健康のための支援教育センター主催で、
シンポジウム「災害と女性~未来(あした)をつくる」が9月18日(日)に開催されます。

震災後、被災地で活躍されている方々がシンポジストとして登壇されます。
皆様是非お越し下さい。

以下はシンポジウムの詳細です。

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シンポジウム「災害と女性~未来(あした)をつくる」

とき:2011年9月18日(日) 13:30~16:30

ところ:東京ウィメンズプラザ ホール(渋谷または表参道下車)

参加費:会員 1,000円  ・  会員外 2,000円

※このシンポジウムは、韓国挺身隊問題対策協議会(日本軍の慰安婦問題を解決するために結成された団体)から贈られた被災女性支援金によって開催されます。

シンポジスト

●福島 裕子さん

岩手県立大学教員、

日本助産師会岩手県支部緊急母子支援の活動に従事中、

避難所運営において女性への暴力の防止や支援の必要性をいち早く提起し、避難所生活をおくる妊婦や幼い子どものいる女性への支援を実施している

●宗片恵美子さん

イコールネット仙台・代表、

エルパーク仙台運営の傍ら、東日本大震災の被災地において、女性サポート「せんたくネット」事業を発案して実施。

単に女性の役割としての洗濯ボランティアではなく、女性の声を聞いて、ニーズを発掘して支援につなげている

●中島 明子さん

東日本女性支援ネットワーク・共同代表。和洋女子大学教員 専門は建築学。

コミュニティを重視し、女性や高齢者などの視点を入れた仮設住宅や復興時の建築について提言している

○司会 柘植あづみさん

明治学院大学教員 専門は医療人類学。

東日本女性支援ネットワークのメンバーとして調査活動に関わっている

主催:NPO法人 女性の安全と健康のための支援教育センター

協賛:東日本被災女性支援ネットワーク


-------------------------参加申し込み方法など------------------------

参加申し込み先:

特定非営利活動(NPO)法人 女性の安全と健康のための支援教育センター

〒113-0033
東京都文京区本郷1-25-4-7階
FAX:03-5684-1412
e-mail:shienkyo@vega.ocn.ne.jp
http://shienkyo.com/


<次の内容をご記入して、お申し込みください>

●支援教育センターの2011年9月18日(日)の公開講座に参加申込みします

お名前(ふりがな)
ご住所 〒
□会員 か 会員外 か  今回ご入会のご希望の有無
□NPO法人 女性の安全と健康のための支援教育センターの資料送付のご希望の有無
電話番号:
FAX:
e-mail:
職業・所属のグループ名・職種など

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震災から5か月・・・政府の男女共同参画の視点からの取組み

震災から5か月。
余震や放射能等、まだまだ心配なことが続いていますね。

ここ5か月、政府は男女共同参画の視点でどのような取り組みを実施してきたのか。
内閣府男女共同参画局内にある、基本問題・影響調査専門調査会第2回で、 「東日本大震災に対応した男女共同参画局の対応」が報告されましたので、紹介します。

報告書では8つの分野から、取り組みがまとめられています。
1.女性や子育てのニーズへの対応
2.仮設住宅における対応
3.男女共同参画局職員の派遣
4.相談窓口関係
5.男女共同参画局の事業
6.壁新聞、地方紙等による広報
7.女性のニーズに対応した支援の取りまとめ
8.復興関係

男女共同参画の視点からの動きかけ、特に女性に対する暴力を防ぐ取り組みは、阪神・淡路大震災の時には見られなかったものですので、大きな前進です。
しかし取り組みは、「取りまとめ」「働きかけ」「情報提供」といったところにとどまっています。
それぞれに強制力があるわけではないため、実施するかはそれぞれの自治体の判断次第。
このため、男女共同生活の中での着替えやトイレなどに危険を感じた人、安全を感じられず不安を抱き続けた人も、少なくありません。
そして実際、本当に残念ながら、被災地における性暴力が報道されています。

こうした状況を踏まえ、調査会では、 「男女共同参画の視点からの東日本大震災への対応について(提言)」をまとめ、5つの項目を提言しています。

1.防災のすべてのプロセスに男女共同参画の視点を入れるために女性が参画する
2.女性の悩みに対応する取り組みを拡充する
3.復興の検討やまちづくりに女性の参画を進め、女性の経済的自立を支援する
4.今回の大震災の好事例や課題をまとめ、統計を男女別・年齢別に把握する
5.日頃からの男女共同参画の推進が被災時の女性への配慮につながる

震災からの復興を考える中で、同じ出来事が起こることがないよう、女性の視点を取り入れてることは必須です。
私たち一人ひとりが、女性たちが置かれている状況を知り、声を上げていくことが、とても大切ですね。

内閣府が「男女共同参画の視点からの防災対策について」を報告

内閣府男女共同参画局は、「男女共同参画の視点を踏まえた東日本大震災への対応について」というサイトを開設し、男女共同参画の視点を踏まえた被災者に対する支援等について、様々な情報を提供しています。
8月5日には、東日本大震災への男女共同参画の視点を踏まえた被災者支援をまとめた「男女共同参画の視点からの防災対策について」を報告しましたので、紹介します。

報告書では、まず、「防災基本計画」や「男女共同参画基本計画」の中で、「防災に男女共同参画の視点が必要である」と明言されていることを確認。
その上で、このたびの東日本大震災における、男女共同参画の視点を踏まえた被災者支援を取り上げています。

そして、今回の震災後に取り組まれている「女性の視点・ニーズを反映した好事例」として、以下を紹介しています。

・「女性専用スペース」の設置
・被災者支援のための雇用の創出
・女性や子育てに配慮した避難所の設計
・女性のニーズ等を反映した避難所の運営体制等

そして仮設住宅における災害対応として、以下を挙げています。
1)安心・安全の確保に配慮した対応
2)ストレス軽減・心のケア等のための対応
3)仮設住宅の利用、コミュニティ運営体制等への対応
4)女性の参画の推進と生活者の意見反映

これらが「好事例」でなく、すべての被災地で当たり前のように実現されること、すべての女性・子どもが安心して過ごせる環境の整備が必要ですね。

「見たくない」問題が「見えない」問題にならないために

このブログでも紹介した、NPO法人ETIC.
が主催する「東日本大震災復興支援企画「医療・看護支援ネットワークミーティング」~被災地の今を知り、高齢者のくらしと健康をどう支えるかを考える~」
http://www.etic.or.jp/etic/seminar_detail.php?id=436
に参加してきましたので、その様子を紹介します。

講師は
●林 健太郎 氏(国際保健・熱帯医学・麻酔・救命救急 医師、PCAT(Primary Care for All Team
ともに東日本大震災の被災地で、医療・看護の活動を展開されています。

会場には、医療・看護関係者を中心に、被災地での医療・看護の必要性を強く感じている方が集まる、とても意義深い会となりました。

お話をお伺いしていて強く感じたこと。
それは「見たくない問題」が「見えなく」なっていること。

被災地で深刻な問題になっていたのが
・不衛生なトイレ
・ハエやダニの大量発生
といった問題でした。

不衛生なトイレは、下痢や脱水症状の方が多く発生した原因を探り、明らかになりました。
ハエは、被災した魚市場や魚の加工工場の魚が散乱して腐ったことや、津波により海水や海藻類が土壌に残ったことが、大量発生の一因のようです。
ダニは、放射能が心配で布団を干すことをためらったり、高齢者の独り暮らしで布団の上げ下ろしができないために、発生しているとのことでした。

そこで、今回講演された団体の医療・看護関係者は、
・避難所のトイレをきれいに掃除する
・ハエたたきでハエを徹底的に退治する
・布団乾燥機で布団を清潔にする
といった活動にも取り組んでいる(場合によってはそうした活動のほうが中心になる)ということでした。

ところでこうした問題って、なかなかメディア等では紹介されないと思いませんか。
「被災地で困っていること」として紹介されるのは
・仕事がない→新たな仕事を探したり、自営を再開したりする人々
・学校に通えない→転校したり、再開した学校に通う子どもたち
・物資の不足、ライフラインが復旧していない→そこでも頑張る人々
といった、人々が「見たい」問題、「共感しやすい」問題、そして「復興につながる明るいイメージが持てる」問題が多いように感じます。

もちろんこうした問題はとても大事です。
解決しなければならない問題です。

トイレやハエやダニといった問題は、決してきれいなものではありません。
積極的に見たいという問題ではありません。
トイレをきれいにしても、ハエやダニを退治しても、明るい復興につながるわけではありません。
でも、切実な問題であることに変わりはないはずです。

「見たくない」問題が「見えない」問題にならないこと。
「本当のニーズ」をくみ取り、適切に対応することが必要ではないでしょうか。

私たちが取り組んでいる性暴力も、まさに「見たくない」そして「見えない」問題にされてしまっていることです。
天災に人災が加わらないためにも、「見える」問題にするために、しっかり声を上げて、対応を促していく必要性を、改めて感じました。

被災地で「ティーンズ女子会」が開催されました


714日のブログで紹介した、被災地の女子中高生がHAPPYに過ごせる「ティーンズ女子会」。
729日に開催されました。

当日は150名を超える女子学生が集まり、とても素敵な場になったそうです!

応援してくださった方、ありがとうございました。

ストレスを上手に発散させましょう

週末も福島県を中心に大きな余震がありましたね。
東日本大震災からもう少しで5カ月になりますが、余震を始め、放射能等、心配なできごとが後を絶ちません。

そんな中、いつの間にかたまってくる「ストレス」を上手に発散させることが大切になってきます。

被災地では、ストレスがうまく発散できないことによる依存症が懸念されています。

まずはアルコールです。

避難所生活の中でも、アルコールによるトラブルが起こっていました。
【2011年5月18日付MSN産経ニュース「悲しみ紛らす飲酒必要か」】

そこで、被災者の大量飲酒やアルコール依存を防ぐために、ケアチームの派遣も実施されています。
【2011年6月26日付47NEWS「被災者の大量飲酒やアルコール依存懸念、横須賀の医療機関がケアチーム派遣」】

また、パチンコなどのギャンブルに時間とお金を費やす姿も見られているそうです。

そして、震災がもたらすストレスは、私たち震災プロジェクトが取り組んでいる性暴力にもつながります。

▼生命の危険に接することで、心理的な不安が高まり、暴力行為が加速する
▼集団生活や物資の不足などでストレスが溜まり、そのはけ口が自分より弱い女性や子どもに向かう
▼仕事を失い、時間が余り、今後の生活への希望が見いだせない中、やり切れない思いを暴力で発散する

だからこそ、ストレスと上手に付き合い、発散させることが大切です。

「ストレスなんかたまっていない」と考えている人ほど、心配です。
これほどの甚大な被害をもたらした大災害、ストレスがたまって当然です。

この状況を乗り越えようとするために、ストレスがたまります。
ストレスは、自分の心と体を守り、危機に立ち向かおうとする「正常な反応」であり、自分の心身が、大変な環境と闘ってくれている証拠です。
弱いからストレスがたまるのではありません。

心身が悲鳴をあげていないか、自分をちょっとふりかえってみましょう。


◆被災された方へ◆

日本心理臨床学会・支援活動委員会によるサイト「東北地方太平洋沖地震と心のケア」では、被災生活の中で起こるストレス反応と、その対応方法をまとめています。
【「避難所での生活支援と心のケア」はこちらです】

厚生労働省によるサイト「こころの耳」では、東日本大震災に対応した、電話やメールによる相談先の一覧を掲載しています。
【相談先の一覧はこちら】


◆支援者の方へ◆

独立行政法人 国立精神・神経医療研究センターは、医療関係者向けの、被害者への対応方法をまとめています。
【「国立精神・神経医療研究センター」ウェブサイトはこちらです】

独立行政法人国立病院機構 久里浜アルコール症センターでは、被災地での飲酒について、注意すべきことや介入ツールをまとめています。
【久里浜アルコール症センターがまとめた「東日本大震災」関連情報はこちら】


震災が、暴力や依存症などの悲しいできごとにつながらないために、是非自分の心身を大切にしてください。