が主催する「東日本大震災復興支援企画「医療・看護支援ネットワークミーティング」~被災地の今を知り、高齢者のくらしと健康をどう支えるかを考える~」
http://www.etic.or.jp/etic/seminar_detail.php?id=436
に参加してきましたので、その様子を紹介します。
講師は
●林 健太郎 氏(国際保健・熱帯医学・麻酔・救命救急 医師、PCAT(Primary Care for All Team)
●河野 良雄 氏(全国訪問ボランティアナースの会『キャンナス』 )
ともに東日本大震災の被災地で、医療・看護の活動を展開されています。
会場には、医療・看護関係者を中心に、被災地での医療・看護の必要性を強く感じている方が集まる、とても意義深い会となりました。
お話をお伺いしていて強く感じたこと。
それは「見たくない問題」が「見えなく」なっていること。
被災地で深刻な問題になっていたのが
・不衛生なトイレ
・ハエやダニの大量発生
といった問題でした。
不衛生なトイレは、下痢や脱水症状の方が多く発生した原因を探り、明らかになりました。
ハエは、被災した魚市場や魚の加工工場の魚が散乱して腐ったことや、津波により海水や海藻類が土壌に残ったことが、大量発生の一因のようです。
ダニは、放射能が心配で布団を干すことをためらったり、高齢者の独り暮らしで布団の上げ下ろしができないために、発生しているとのことでした。
そこで、今回講演された団体の医療・看護関係者は、
・避難所のトイレをきれいに掃除する
・ハエたたきでハエを徹底的に退治する
・布団乾燥機で布団を清潔にする
といった活動にも取り組んでいる(場合によってはそうした活動のほうが中心になる)ということでした。
ところでこうした問題って、なかなかメディア等では紹介されないと思いませんか。
「被災地で困っていること」として紹介されるのは
・仕事がない→新たな仕事を探したり、自営を再開したりする人々
・学校に通えない→転校したり、再開した学校に通う子どもたち
・物資の不足、ライフラインが復旧していない→そこでも頑張る人々
といった、人々が「見たい」問題、「共感しやすい」問題、そして「復興につながる明るいイメージが持てる」問題が多いように感じます。
もちろんこうした問題はとても大事です。
解決しなければならない問題です。
トイレやハエやダニといった問題は、決してきれいなものではありません。
積極的に見たいという問題ではありません。
トイレをきれいにしても、ハエやダニを退治しても、明るい復興につながるわけではありません。
でも、切実な問題であることに変わりはないはずです。
「見たくない」問題が「見えない」問題にならないこと。
「本当のニーズ」をくみ取り、適切に対応することが必要ではないでしょうか。
私たちが取り組んでいる性暴力も、まさに「見たくない」そして「見えない」問題にされてしまっていることです。
天災に人災が加わらないためにも、「見える」問題にするために、しっかり声を上げて、対応を促していく必要性を、改めて感じました。