復興計画に、被災地に生きる人々の意見を

セミナーの様子

震災後の女性・子ども応援プロジェクトと共に活動させていただいている遠野まごころネットが国連職員をお呼びして、災害時における人権に関するセミナーを開催しました。

セミナーには現地で活動されている支援者が多数参加し、災害時における人権の重要性や、被災地の現状についてお聞きすることができました。
仮設住宅



【コミュニティの問題】

東日本大震災後、震災以前にあったコミュニティが崩れ、避難所に入った後に形成されたコミュニティも、人々が仮設住宅に入居することで崩れてしまいました。人々はこれからまたコミュニティを形成していかなければならない状況になっています。コミュニティ形成は時間がかかる上、人々の負担にもなります。仮設住宅での生活に不安を抱える人も多い中、これからどのようにコミュニティを作っていけばいいのでしょうか。
また、避難所内でも何気ない一言がコミュニティを崩す原因になっています。ある避難所では、Aさん(家が流された人)とBさん(家が半倒壊の人)の会話で、Aさんが「Bさんの家まだ残っているのに、なんでここ(避難所)にいるの?」とBさんに言ったことで、Bさんはショックで避難所を出て半倒壊の家に引きこもってしまったケースもあるそうです。




セミナー参加者
【被災者支援と自治体の現状】

現在地方自治体が復興計画について策定していますが、被災された当事者が復興計画に関わるというよりも自治体により決定してしまうことが多く、執行する際に被災者の中には不満が多く残る可能性があります。

(例)漁業支援
港の整備や船の整備など、支援の段取りについて被災した漁業関係者は選択できない。
(例)住居
津波が来た場所であっても、自分がもともと住んでいたところでまた生活を送りたがっている人もいる。平等と安全への配慮として高台へ住むことを推進してはいるが、住居を選択する権利を与えてはいけないのだろうか。


また、地方自治体の議員や役所の職員が大勢亡くなられたことで、上手く自治体が機能していなかったりします。国や民間のNPO、NGO、企業が彼らのサポ-トをすることは必要ですが、彼らが主体となった復興でなければなりません。あくまで主体は現地で生活する人であるべきです。



震災から4ヶ月が経ちました。
被災地で生きる人々の状況・生活は変わってゆきます。
中央政府はそのスピードに対応できていません。
自治体、支援者、行政が、これからどのように連携していくかが今後重要になるのではないでしょうか。

被災された方々が望む街や社会へと再建していくために、マイノリティ・年代・性別に関わらず、現地で生きる人々の意見がきちんと復興支援に取り入れられるよう、これからも後方支援をしていきたいと思います。